オリジナルミュージカル”Girl Shakes Loose"のコラボレーションを頼まれ、
それ以来毎年1、2回、Workshopに参加してきた。
毎回、ブロードウェイに出演歴のある役者が参加してくれて、
質の高い作品に仕上がってきた。
Imani Uzuri |
脚本家Zakiyyah Alexander |
ブロードウェイ上演の通過点と言われる
National Musical Theater Conferenceに
今年、”Girl Shakes Loose"が招致されたのだ。
(毎年3作品が選ばれるらしい。)
というわけで、
車で2時間30分北上したところにある
コネチカット州のWaterford市にある
Eugene O'Neill Theater Centerに
6月28日から7月9日まで滞在した次第。
これが、なかなかタフな仕事であった。
4回公演。毎日7時間のリハーサル。
ベテラン劇作家やオーケストレーターによる、
厳しい批評。その度に、脚本家は台本を書きなおすは、
Imaniさんは曲を作り直すはで、
夜中中、私も楽譜作成を続け、
気がおかしくなるかと思う日があった。
滞在した場所は、海岸の近くで、
木々に囲まれたとても綺麗な環境であったのだが、
毎日、仕事仕事でストレスレベルも高く、
正直、早く家に帰りたいと思うほどであった。
滞在した場所 |
Eugene O'Neill Theater Centerの入り口 |
リハーサル中に、役者が感極まって泣いたり、
ハグして励ましあったり、
何か日本のどこかの高校か大学の演劇部夏の強制合宿のノリであった。
(2回目の公演の際、私、不覚にも
劇に入り込みすぎたか、疲労からなのか、
感情が抑えきれなくなり、
涙がこみ上げてきて、鼻水垂らしながら
ピアノを演奏するという経験もした。)
役者さん達 |
これだけやれば明らかに作品は見事に洗練され、
4回目の公演は、
スタンディングオベーションをいただいて、
まずは成功だったように思う。
来年の春には、ミネアポリスでの公演が決まっており
このGirl、ブロードウェイ上演に向かって進んでいるのは
間違いないと思っているのだが、さてどうなりますやら。
今回、指導をしてくださった、作曲家編曲家Michael Starobin氏との
出会いは貴重なものとなった。ミュージカルに疎かった私だが、
色々とミュージカルを見てみようという気にさせられた。
Michael Starobin |
滞在中に、アメリカ国内で、黒人男性が警察に
処刑されたかのように銃殺される事件がミズーリ州、ミネソタ州で
2日連続で起き(両方とも、携帯電話のビデオで現場が撮影されていて
ネットで公開された。)、
その後、それに対するデモ中に、復習するかのように、
黒人が白人警察を5人殺害する
事件がダラスで起き、非常に荒れた週であった。
このGirl Shakes Looseは、脚本も黒人女性、作曲家も黒人女性、
役者も7人中6人が黒人。白人が圧倒的に多いミュージカル業界に
切り込みをかけているこのチームも、この一連の事件に心を痛めた。
私も、日本人ということで、このアメリカ社会では
なんとなくどこにも属さない浮遊した存在で入られることに
若干安堵しているところもあるのだが、
このアメリカ社会の闇の部分に、どう対応するべきなのか
いつも悩まされる。
銃が好きで、奴隷制の歴史があって、白人至上主義の文化があり、
2016年になっても未だに、頻繁に殺し合いをしてしまうアメリカ国で、
私はピアノを弾いて暮らしている事を、たまに、不思議に思う事もある。
実際は、生活する事でいっぱいいっぱいなのですけど。
(平気で人種差別的な発言を続けながらも共和党の新しい大統領候補になった
ドナルドトランプのような人が、この秋に当選でもすることになったら、
本当に嫌だなぁと思っています。)
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