2010年12月17日金曜日
ダカールツアー その7
滞在が急に延長されたために、若干、心配していた事が起きてしまった。
JFK空港に戻る前日に、ビデオ撮影担当のMichaelと
ドラムのSteveと自分の飛行機チケットが予約されていなかったのだ。
フェスティバル主催者に問い合わせにオフィスに行った。
イヴェント参加者の多さに対して、スタッフの数が
少なすぎる印象。今回、SOMIバンドでギターを弾いた
Herveyも、彼自身のバンドでも参加しているのだが、
彼のバンドメンバーの航空チケットも発券されていなかったらしく、
共にオフィスでぼやいた。
フランス領グアドゥループ出身のSteveが交渉し、
i-phoneを使って、関係者にメールして救援を頼むMichael。
フランス語もできず、21世紀のテクノロジーを持っていない私は、
なんとなく気まずい気がして、じゃ、ちょっと、差し入れでも
買ってきます、とサンドウィッチを買ってきたりして、
日本人ができるうるせめてもの貢献をしてみた。
(因みに、SOMIはこの日の昼前にルワンダに里帰り。)
待つ事、4時間。
ようやく航空券を確保してもらう。
疲労困憊で、もう寝るという、SteveとMichael。
しかし私は、滞在最終日を、オフィスで水汲みと買い出しだけで、
終わっていいものかと、航空券が予約されていて、
この日一人お土産ショッピングに行っていたベースのKeithと一緒に
夜に予定されていた、セネガル歌手のBaaba Maalを
聞きに行った。
ダンサー2人含めて、11人編成。
今回、Baaba Maalを聞いたのは、
滞在中3度目。
オープニングセレモニーで2曲程、大統領邸で1曲、
そして今晩のライヴ。
ユッスーほどの透明感はないのだが、
ものすごい重量感のある声質。
オープニングセレモニーの時、ほとんどの歌手が口パクだったのだが、
Baaba Maalは特に、口パクがばればれのパフォーマンスをしていて、
何だかなぁと思っていたのも事実。
しかし、この日は、熱唱。
バラード系の曲では鳥肌がたって涙がこみ上げてくる程であった。
ダンスも上手く、会場は大盛り上がりだった。
4人ほど、シンガーがシットインしたのだが、
これがまた皆、素晴らしかった。
セネガル人の中にも歌が上手くない人というのが果たして
いるのだろうか。疑問だ。
ホテルに戻り、バーで紅茶をもらうことにした。
(夏以来、どういうわけかコーヒーがあまり飲めなくなってしまい、
最近はもっぱら紅茶派なのだ。)
ここに来て発見したNuit Calmeという紅茶が気にいって
またそれを注文して、出てくるのを待つ間、
バーカウンターに座っていた地元の若い男性に話しかけられた。
英語がかなり達者である。
今回、積極的な街の売り子に、足までつかまれたりして
見知らぬセネガル人に対して、全くいい印象を持っていなかったので、
また、何か売りつけられるのかと緊張したのだが、
『今日、Baaba Maalのコンサート見たかい?』
『よかったよ。』
『よかっただろう。最高だよ、Baaba Maalは。』
セネガル歌手といえばユッスーンドゥールくらいしか
知らないのだが、
『ユッスーも好きなんだけど、彼のコンサートを聞けずに
明日NYに帰らないと行けないんだ。残念だ。』と言ってみた。
すると、
『ユッスーは駄目だ。Baabaが一番だ。』
と言う。
『オープニングセレモニーで、ユッスーの歌った曲知っているかい?
このフェスティバルは、アフリカのルネッサンスがテーマなのに、
テーマとあまり関係のない愛の歌を歌った。
Baabaは、アフリカを讃える歌を謳った。彼はリアルだ。
ユッスーは、リアルじゃない。』
自分の推測だが、ユッスーは垢抜けしているが、
このBaabaはどこか、北島三郎を思い出させる土着感があるように思う。
そのあたりで、セネガル人の間で好き嫌いが分かれるのかなと思った。
『英語が上手いけど、何をしているの?』
『ツアーガイドをしているんだ。今度ダカールにくる事があったら
電話してくれ。』としっかり営業活動も忘れない。
今回、セネガルの音楽事情をもっと知りたくなったのは確かだ。
セネガルはやばい、と思った。
滞在中、色々不愉快な事もあったが、
セネガルの音楽が、すべてを帳消しにしてくれた感じがする。
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