2013年10月22日火曜日

初裁判体験

先日、私は身の潔白を晴らすべく、
人生で初めてNYの裁判所へ出廷したのである。
弁護士を雇わず自分の力で
無実を訴えた。
証拠を提出した。
私の尊厳をかけた戦いであった。

評決。

無罪。

法廷を出ると、
秋の日差しがやさしく私を包み込んだ。

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 今年の6月、自分の運転する車の
ヘッドライトとブレーキランプが
切れていたことで、 私は、NY警察から
違反チケットをいただいたのだ。

 ルールによれば、チケットをもらった時から
24時間以内になおして、その時の
修理工場のレシートを送付すれば
違反取り消しにしてくれるのだ。

そのようにしたのだが、どういうわけか、
NY交通局の公聴会への呼び出しをくらってしまったのだ。
(交通違反チケットをもらった際、
無実だと信じれば、こういう公聴会に出向き
裁判官に判断を伺う事になっている。)


 大人しく罰金を払ってしまえば
(140ドルくらいだったと思う。)
時間かけてわざわざこういう場所に出向くこともないのだが、
こういう機会もなかなかないと思い、
出向いた次第。
(もっとも呼び出しをもらった日に出廷しないと
免許取り消しになるらしい。)

こちらは、修理した時のレシートは持っているし、
間違いなく棄却されると思っていた。
とはいえ、初めての公聴会。
勝手もわからず不安であったのは確か。

多くの人がいた。
それぞれ、指定された部屋にふりわけられた。
公聴会は公開で行われているので
他の方のやり取りがまる聞こえだった。

運転中に携帯電話をかけた罪の人がいたり
一時停止を怠った人。
左折禁止のところを左折してしまった人がいた。
皆、訴え通らず有罪とされているのを目撃した。
私は緊張した。

そして私の番がきた。

修理屋でのレシートを提出した。

裁判官は、すぐさま『棄却』としてくれた。

あまりにもあっけない判決であった。
とにもかくにも私は初めての裁判で違反の取り消し、
いわば、勝訴を得たのである。

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因みに、私が行ったNY交通局は
ハーレムの125丁目の東側にあった。

最近の125丁目というのは、
多くの大手チェーン店が立ち並ぶ
ショッピングモール化している。
かつてのアフリカ系アメリカ文化一色という雰囲気が
消えていくのかという感じがある。
時に猥雑で犯罪の香りのあった所が
一掃されて行く過程にあるように思う。


公聴会からの帰り、
125丁目を東から西へ向かうバスにのった。
乗客のほとんどはアフリカ系アメリカ人であった。
自分の座った席の前の床には
ケンタッキーフライドチキンの紙容器や
スポーツドリンクの空き瓶が転がり、
背もたれと窓の間の隙間には
新聞紙がはさまっていたりと
なかなか衛生環境はよろしくなかった。
しかし、そういうのが、ハーレムらしいとも
思えた。

さて、NYの地下鉄とバスを乗る時に
メトロカードというプリペイドカードを
使って運賃を支払うのだが、
とあるアフリカ系女性、年は50代くらいか、
バスに乗り込んで私の近くの席に座った。
すると彼女はメトロカードを床に落とした。
周りの乗客が、
『あなた、メトロカードを落としたよ。』
と声をかけた。
彼女は、
『いや、もうメトロカードの残金がなくなったから
捨てたの。ありがとう。』
と応えた。
いやいや、だからバスに捨てていいのかと、
私は思ったのだが、いやいや、
こういうスピリットというものがある限り、
たとえ、街並はディズニーランドのようになってしまったとしても
ハーレムはハーレムであり続けるのかなと思い直した。 

4 件のコメント:

  1. はろはろ、しげぞうでございます。

    めっちゃ久し振りです。
    わたしも昔、一発免停で簡易裁判所へ出向いて
    審判を下されました。

    それにしても残金無くなったから捨てたのよって
    ここ、Chinaに似ている。
    Chinaは、捨ててもそれを掃除する人が要るから
    その人の仕事を取っちゃいけないって事で敢えて
    捨てているらしい。

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    返信
    1. はろはろ、しげぞうさん。

      なるほど。。そういう見方もあるのですね。

      削除

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