2010年9月5日日曜日

インド人の耳。

近所のインドカレー屋さんは、
BGMにはいつもシタール音楽を流していて、
それを聞くのが好きだ。


(職業柄か、店内にジャズがかかっていると落ち着かなくなるのだ。
何故か、誰が演奏しているのか、何の曲かを
言い当てなければいけない気持ちにさせられて、
箸が進まなくなる事がある。
そういえば、NYの寿司屋、日系居酒屋では何故か
ジャズがかかっている事が多い。
インドレストランではインド音楽なのだから
寿司屋では尺八、三味線、琴や琵琶の音楽。
これでいいのではないだろうか。
逆に、尺八奏者は箸が進まなくなるのだろうか?)



ほぼ2ヶ月前に行った時、
いつもの人なつこい笑顔が特徴のウェイターがおらず、
初めて見る若い方がサーブしていた。
新人さんだろう。


注文を終え、ご飯を待つ間、
ふと、店内に流れる音楽がいつもと
違うことに気付いた。


テナーサックスがリーダーの
いわゆるスムーズジャズと言われるような音楽であった。
曲が終わると、歓声も聞こえて来た。
ライヴCDらしかった。


早速、落ち着かなくなってしまった。
誰が演奏しているのか気になってしまった。
自分は、あまりKenny Gの音楽に詳しくないのだが、
このBGMを聞いた時、初めに思い浮かんだのは、
Kenny Gだった。


だだし、Kenny Gはソプラノサックスを演奏する人だと
思っていたので、このCDはテナーサックスだし、
一体、誰だろうと疑問に思った。


いつものカレーを運んできてくれた
新人ウェイターに、思わず聞いてみた。

『今かかっているCDは何ですか。』

すると彼は、

『伝統的なインド音楽です。』

と教えてくれた。


















あまりに予想外の回答が来て、
思わず12行くらい無駄に改行してしまうほど、
混乱した私は、

『いやいや、サックスが聞こえるんだけど、
もし構わなければ、何のCDだか教えてもらえませんか?』

『だから、伝統的なインド音楽ですよ。』
と迷いのないウェイター。


その時CDは、丁度、誰かがMC中で、
『スペシャルゲスト、マイケルボルトン!!!』
というアナウンスをしていた。


たまらず、
『すみません、気になってしょうがないので、
今かけているCDを見せてもらえないでしょうか?』

とお願いしてみた。


彼は、呆れた表情を浮かべながらも、店のレジの近くにある
CDプレイヤーの所からCDを持ってきてくれた。

『ほら、ご覧のとおり、インドの伝統音楽奏者のCDですよ。』
と見せてくれたCDは、確かに、
正確に覚えていないが、『マハトマ シャマラン』のような
典型的なインド人の名前が書いてあるCDであった。


おそらく、彼は、複数枚再生機能のついているCDプレイヤーの中から、
普段かけている伝統的なインド音楽CDを持ってきた、ということだろうし、
その時にかかっていたのは、後に家に帰って調べて判明したのだが、
Kenny Gの”Kenny G Live"というライヴ盤で、
マイケルボルトンが一曲歌ってたし、
Kenny Gはテナーサックスも吹くということをこの時初めて知ったし、
それはそれでよかったのだが、
あれだけ真顔で、Kenny Gの音楽を
『インドの伝統音楽です。』
とインド人の方から言いきられると、
いや、まぁ、すべての文明文化はインドから来ているともいえるし、
それほど間違ってもいないのかなぁと。
ベートーベンの交響曲を初めて聞いた、
インドの伝統音楽を演奏するあるミュージシャンが、
『皆でチューニングをしているのかと思った。』
と言ったという逸話もあるし、
インドは、西洋音階を超えた音楽を誇る国だし、
このウェイターの耳には、Kenny Gの音楽も
ひょっとしたらインド音楽の一部に聞こえているのかもしれないと
好意的に解釈もしてみたのだが、
ただ、『マイケルボルトン!』とコールされているのだから、
これは絶対、伝統的なインド音楽ではないと強く自分を信じて
店を出たのを覚えている。




今日、久しぶりにこのレストランに昼飯を食べに行ったのだが、
あの新人ウェイターはおらず、
いつもの人なつこい笑顔が特徴のウェイターが迎えてくれて、
BGMはいつものシタール音楽がかかっていた。


いつものカレーを運んできてくれたこのウェイターに
ふと、Kenny G=伝統的なインド音楽事件を話してみようかと思ったが、
なにしろお腹が空いていたし、
この長くなってしまった作文の、
特に2段落前の箇所を英訳して話すのが面倒だったので、
目の前のカレーに集中することにした。
そしていつものようにおいしかったのだ。

8 件のコメント:

  1. 聞くところによるとケニーGさんはインド系で本名はケニアータ・ガンジー・シッダルタという名前でした。若い頃インドの山奥でインド音楽の奥義「ペンタアートニィク奏法」をマスターしたという話です。

    ああNYインドカレー食いたい

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  2. 僕も、そのペンタアートニィク奏法を学びに
    インドに行きたくなりました。
    とりあえず、近所のインドカレー屋に行きます。

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  3. dodoさん、
    今度そのインドカレー屋でdodoさんのCDが掛かって居たらどうしますか?

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  4. とりあえず、インドの伝統音楽かどうか
    ウェイターに確認してみたいと思います。

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  5. どどさん、 
    上記 井上智さん、比較的洒落たジョーク飛ばしてますが
    東京では相変わらず難しい顔して、駄洒落をひねり出してはりましたよ。

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  6. その駄洒落を、
    理解してあげれる人が周りにいるかどうかが、
    気になります。

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  7. 大作ですね、面白かった☆
    百々さん、土屋賢治氏みたいなエッセイとかの仕事来たりして。

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  8. 土屋先生には影響されてます。。

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